高断熱住宅なのに寒い?

 一気に涼しくなってきました。先日お引渡ししたばかりのお客様から連絡がありました。『朝方、少し肌寒いのですが、空調をどのようにしたら良いでしょうか?』お引渡し時に、温湿度計をプレゼントしているので、朝方の室温を聞いてみたところ21度前後とのこと。

 恵那市でUa値0.3、熱交換換気も入れている住宅だとこの時期で少し低めになっているなという感じです。お引渡し時に、お家の使い方マニュアルを読み合わせしてお渡ししているのですが、今までの生活の癖で使い方を間違えていることが良くあります。

 ヒアリングした結果、トイレとお風呂の換気扇がつけっぱなしになっているのが分かりました。トイレ(今回は2か所)とお風呂の換気扇は第三種換気になっているため、3つの換気扇を常に回している状態になっていました。

 これだと、必要以上に換気が進んでしまって、どんどん室温が下がってしまいます。トイレとお風呂の換気扇は必要最低限に抑えて頂き、通常はオフとするようにご説明をしました。これで10月11月は無暖房でいけるかと思います。

 現在の断熱性能の指標がQ値からUa値になって換気による熱損失が指標から抜けてしまいました。実際、熱交換換気を導入すると冷暖房負荷は大幅に軽減されるのですが、これは計算通りに換気が行なわれているという前提になります。

 現在の住宅では24時間換気が義務付けられており、1時間に半分の空気が入れ替わるように計算されています。冷暖房負荷が軽減されるあらと言って計画換気を全て停止してしまうのは空気が汚れてしまうのでお薦めしません。

 ただ、必要以上に換気をしてしまうと、思ったように断熱が効かないという結果になってしまいます。ただ、断熱がしっかりと聞いている住宅では体感で気づかない程度に徐々に室温が下がっていくため、換気のし過ぎで室温が下がっていると気づきにくいです。

 ロスナイは、室温を60%以上捨てずに回収してくれます。換気回数0.5回の場合×(100%-60%)で三種換気の0.2回分の熱損失で換気量を確保することが出来ます。ダクト式の高性能なものだと90%のものもあるので、これだと第三種の1/10の熱損失です。

 この辺り、いつも温熱環境のことを考えている実務者だと当たり前になってしまっていますが、お客さまにはそこまで重要性が伝わっていないのだなと痛感しました。24時間換気の回数が0.5回というのもあくまで基準です。

 実際は、一人当たり30㎥/hがお家の空気が綺麗に保てる基準になります。二人暮らしなら60㎥/hです。ダクト式の第一種換気が設置されているお家であれば、風量の調整ダイヤルがついていますので、人数に合わせて調整されると良いと思います。

2023年10月8日

株式会社小栗材木店

常務取締役 小栗 良太