お家づくりをはじめた時に、工務店やハウスメーカーのホームページを調べる住宅展示場に行って情報収集される方が多いと思います。どの工務店、ハウスメーカーでも100%いわれることがあります。
『当社で建てている家は、ここが素晴らしい』
各ハウスメーカーや工務店の強みはそれぞれ違いますし、実際に建てている住宅は千差万別です。何社もハウスメーカーを廻ってから、逆によくわからなくなってしまったという方も多いのではないかと思います。
なぜ分からなくなってしまうのか、これの大きな原因は、今までの住宅営業で行われていた悪しき慣習が影響しています。それがポエムで誤魔化すということです。今回は断熱性能に絞ってお話をしたいと思います。
ハウスメーカーで書いてある性能のうたい文句を並べてみました。
『360°トリプル断熱』
『マシュマロ断熱』
『クワトロ断熱』
どれが性能の良い家でしょうか。全くわかりませんね。実際、なんとなく高性能っぽい名前を付けて高気密高断熱を謳っているハウスメーカーがいまでも多いです。大手だから、高級住宅だから、デザインがカッコいい家だから=性能が良い家ではないのが住宅業界の怖いところだなと思います。
では、国の省エネ基準をクリアしていたら良い家なのでしょうか。
『ZEH認定を取得したゼロエネルギーの家』
『長期優良住宅の認定を取得した高性能住宅』
これは、どうでしょうか。ZEHも長期優良住宅も国が定めた認定制度で、これを取得していれば一定以上の性能値であること設計上確かめられています。ZEHでゼロエネルギーの家と聞くといかにも素晴らしい家なんだろうと思いませんか。
私も、工務店の設計実務をしていなかったらそう思うだろうなと思います。でも、実はこの基準、断熱等級では等級5でOKなんです。断熱等級5は2030年義務化が予定されています。
つまり、7年後の最低基準となることがすでに決まっているんですね。つまり、7年後の建売住宅は全て最低でも等級5以上になるということです。いま、ZEHの家とか長期優良住宅の性能をPRしているという事は、あまり性能にはこだわっていない会社なんだなと判断して頂いて大丈夫です。
ZEHや長期優良住宅は当社でも取得することがあるのですが、主に補助金を利用するために認定を取得しています。
断熱性能は20年以上、1~4までしかありませんでした。それが5、6、7の上位グレードが設定されたことで性能の比較が容易になりました。大体こんな感じです。
等級4 → 無断熱住宅から引っ越してくると、今までより暖かいと感じる。
等級5 → 無断熱住宅よりかなり暖かいが、足元が冷える。
このレベルで全館暖房をすると増エネになります。
等級6 → 家全体の温度差がなく快適になる。
全館暖房した場合に等級4で今まで暮らし(間欠運転)と同じ電気代になる。
快適だけど、省エネではない。
等級6.5 → 省エネと快適性の両立が可能になる。
等級7 → 設計によって実質無暖房が可能になる。
建築費も高額になるので、光熱費で回収しようと思うと50年以上かかる。
*これは、東京大学の前准教授がそれぞれでシミュレーション、実測したデータを元にしています。
これらのことから、当社は全館暖房、全館冷房した上で省エネを両立できる等級6.5を標準としています。当社がある5地域でUa値0.3程度です。いろいろとシミュレーション、実測した結果、この辺りの性能に落ち着いた感じです。
等級5(ZEH水準、長期優良住宅)は、7年後の最低レベルという事は、知っておいた方が良いと思います。
2023年10月5日(木)
株式会社小栗材木店
常務取締役 小栗 良太