高断熱とパッシブ設計は、自然温度差を上げるための手段

 自然温度差って何?と思われた方が多いと思います。これは無暖房時での、外気温と室温の差のことをいいます。高気密高断熱ブームといっていも良い状況ですが、Ua値やC値が手段ではなく目的となってしまっている工務店が多いなあと思います。

 こちらは、2023年10月22日のモデルハウスの外気温とLDK室温の推移をプロットしたグラフになります。一日の中で一番気温が下がるのは日の出の直前ですが、この時の外気温がおよそ9℃、LDK室温は20.5℃でした。

 

 縦軸は室温℃ 横軸は時間になります。

 この時の自然温度差=20.5℃-9℃=11.5℃になります。これが自然温度差になります。例えば、室温を22℃に保とうとした場合、一番室温が低い時間帯でも0.5℃分だけ熱量を投入すれば良いことになります。

 この設定室温-無暖房時の室温の差を足していったものが、暖房負荷といいます。今回、グラフに22℃のラインをグレーで引きました。この日は、昼過ぎから無暖房時の室温が22℃を超えていますので、暖房が必要な時間帯は午前中と、夜の間だけということになります。

 モデルハウスは、普段無人のため、南面のシャッターを下ろしています。つまり日射取得がほとんどない状態になります。実際に、先日引き渡しをしたお客様は、日中日射取得をしすぎて室温が28℃を超えてしまったとおっしゃっていました。

 10月の高断熱住宅は無暖房で心地よいどころか、まだ日よけが必要だなということが分かりました。初年度なので、シェード等をうまく活用するすべを徐々に覚えていって頂きたいなと思います。

 高断熱と日射取得はそれぞれ役割が違います。高断熱は、薄く長く室温を底上げする効果があります。日射取得は、日中の室温を強烈に上げる効果があります。この両輪を上手く作用することで、無暖房で過ごせる期間を大幅に長くすることが出来ます。

 自然温度差を上げていくと、暖房負荷がどんどん減っていきます。つまり、暖房があまり頑張る必要がなくなるということです。そうするとエアコンの台数を減らす、エアコンの容量を小さくすることが可能になります。

 まとめ

・高断熱と日射取得の目的は自然温度差を大きくするための手段である。

・高断熱は、薄く長く室温を高める効果がある。

・日射取得は、日中強烈に室温を高める効果がある。

・自然温度差が大きくなると、暖房負荷を小さくすることができる。

・暖房負荷を小さくすることで、エアコンの台数、容量を減らすことが出来る。

2023年10月23日

株式会社小栗材木店

常務取締役 小栗 良太