冬暖かくて、明るい家にするために当社が大事にしていることが、日影を読むということです。全く同じ間取り、全く同じ断熱構成の家を建てたとしても、建てる場所によって家の燃費は大きく変わります。
いわゆるパッシブ設計風の設計で、南に大開口がある建物を建てたとしても、南にマンションが建っていて全く南面に日が当たらないのであれば意味がありません。実際、住宅密集地や敷地条件が悪い立地の場合はしっかりと隣家を読むという作業をしないと暗くて、暖房費の高い家になってしまいます。
そこで、役に立つのが等時間日影図というものになります。実際に現地にいって隣家の高さやサイズ、形状を測定してjwcadに入力していきます。これが、先日作成した等時間日影図になります。
等時間日影図を作成することで、敷地上で最も日当たりの良い箇所が分かります。これは冬至の日にどれだけ日影ができるかを表わした図になります。ここは1日の内5時間日影、4時間日影、3時間日影というようなことが分かるわけです。
これが出来たら、車の配置と庭の配置を考えます。そこから間取りに入っていくことにしています。いきなり間取りを描いていくと絶対に良いプランはできません。庭との関係性も考えながら、最も日当たりの良いところにリビングの配置する、そして最も日当たりの良いところにリビングの大開口窓が来るようにしています。
土地を購入する際には南道路の土地は北道路の土地より高い傾向にありますし、マンションであっても南向きが人気です。日当たりが良いというのは、太陽に素直な設計など聞いたことがない方でも当たり前に重要視している項目になります。
しかし日影を読み抜いてプランニングをするということはまだ一般的ではないかなと思います。今回、この等時間日影図を描いたお客さまも、敷地条件が厳しく他社の設計でも日当たりを考慮したプラン作成をしてもらえないと悩んでらっしゃいました。
等時間日影図を用いたプラン設計をした際に、これが出てきたのははじめてですと感動して頂けました。最終的には、なかなか1階での日当たりが難しい敷地でしたので、吹き抜けからリビングに光を落とす計画としました。
等時間日影図だけでは、お客様に実感いただけないので、最後に3Dで日影シミュレーションを作成してプレゼンしました。大変気に入って頂いてそのままのプランで先日上棟させて頂きました。こちらの住宅もルームツアー撮影をしたいと考えておりますので、またYoutubeにて詳しくご紹介したいと思います。
2023年10月17日
株式会社小栗材木店
常務取締役 小栗 良太