断熱性能が高い=低燃費ではない。家の燃費を考える。

 岐阜県恵那市の工務店、小栗材木店です。皆さんが車を購入する際、燃費って気にされると思います。どの車のカタログにも〇〇km/Lと載っています。

 新型プリウスでは28.6km/L、ランドクルーザーでは8.1㎞/Lと記載されていました。車の場合は、燃費性能の違いが分かった状態で、外観やその他の性能も比較して購入することが出来ます。

 実際、燃費性能が高いからランドクルーザーを購入するという方はいらっしゃらないのではないでしょうか。では、住宅を購入する場合はどうでしょうか。そもそも家の燃費って何か知らずに購入される方が9割以上ではないかと思います。

 断熱等級が以前までの1~4だったのが、1~7まで整備されて、新築で建てられた方は自分の家の断熱性能がどれくらいか把握されている割合が多くなってきました。当社のお客様でもUa値はこれくらい以上で建てたい、ヒート20G2以上の家を建てたいと断熱性への関心は非常に高いです。

 ただ、断熱等級、Ua値はあくまで手段であって、目的ではありません。本当の目的は、『夏涼しくて、冬暖かい家を冷暖房費安く手に入れたい。』だと思います。断熱性Ua値というのは、熱の逃げにくさの平均値です。とても重要な要素ですが、これだけでは家の燃費は決まりません。

 まず、家の燃費とはなんでしょうか。定義はこちらです。夏と冬に維持したい室温にするために投入する必要がある熱量のことです。*当社では夏26度、冬22度で計算しています。

 冬で考えてみます。断熱性能や、太陽に素直な設計ができると、無暖房時の室温が外気温よりどんどん高くなります。この時の、外気温と室温の差を自然温度差といいます。断熱の目的はこの自然温度差を大きくすることにあります。

 例えば、無断熱の住宅では外気温が0度の場合、室温も3度程度と数度しか自然温度差がありません。この場合、室温を22度まで高めようとすると22度-3度で19度も室温を高めるために暖房をしなければなりません。

 当社が建てているような高気密高断熱住宅の場合は、無暖房でも室温が15度を下回らないようになってきます。この場合、投入すべき熱量は22度-15度で7度だけ室温を上げればよいことになります。投入するべき熱量は1/2以下になります。自然温度差を高めると、投入すべき熱量がどんどん少なくなります。

 断熱等級7になると実質無暖房が達成できるといわれています。これは、自然温度差が非常に大きくなることで、無暖房で設定室温まで達成するからです。設定室温に対して投入すべき熱量のことを、冬の場合は暖房負荷、夏の場合は冷房負荷といいます。夏と冬合わせて冷暖房負荷になります。

 冷暖房負荷を小さくすることが、家の燃費を高めるという事になります。決して、高性能エアコンを導入することが家の燃費を高めることではありません。家の燃費を決定する要素は以下になります。

  • 断熱性能
  • 日射取得(冬の場合)
  • 日射遮蔽(夏の場合)
  • 家の大きさ
  • 換気
  • 気密性

 家の燃費はこの単位で表せます。年間の冷暖房負荷〇〇kwh/年これが小さければ小さい程、燃費の良い家ということになります。但し、当然大きな家の方が沢山エネルギーを必要とします。大きさの違い家で比較する場合には、こちらから家の床面積で割ることで㎡当たりの負荷を算出します単位はkwh/㎡になります。

これで住宅の燃費性能を比較することができます。

国の省エネ基準では

暖房負荷80kwh/㎡(設定温度18度)

冷房負荷80kwh/㎡(設定温度27度)となっています。

当社では暖房負荷40kwh/㎡以下 冷房負荷20kwh/㎡以下となるように設計をしています。実際計算すると暖房負荷30kwh/㎡程度 冷房負荷15kw/㎡程度となっています。暖房は1/2以下、冷房では1/4以下で冷暖房が出来る計算になります。

ただ、これだけでは知らない単位ばかりでまったくピンとこないと思います。

年間の暖房費こうやって計算できます。*住宅の大きさは120㎡とする。

床面積120㎡×暖房負荷30kwh/㎡=総暖房負荷3,600kwh/年

エアコン1台で全館暖房した場合、効率3~4で運転できます。効率4で運転できたとすると暖房費はこうなります。

総暖房負荷3,600kwh/年÷APF4(効率)×電気単価40円/kwh=36,000円/年

大体、総暖房費を4で割ると一番暖房が必要な1月の大まかな暖房費がわかります。

36,000円÷4=9,000円になります。

1月の一番寒い時期に全館暖房して、かかる暖房費が1万円を切るとなるとかなり安いなという印象だと思います。

当社では、全棟シミュレーションソフトのホームズ君でシミュレーションを実施しています。車と同じように、燃費で家を選べる時代が来ると良いなと思っています。もっと詳しく知りたい方は、当社までお問い合わせください。

株式会社小栗材木店

常務取締役 小栗 良太