岐阜県恵那市の工務店、小栗材木店です。当社は、主に注文住宅を中心に住宅の建築をしています。当たり前ですが、お客様にとって注文住宅を建てるのははじめてという方がほとんどです。老後の家を建てるという事で2回目や3回目という方もいらっしゃいますが、それは少数派。
やはり、家づくりははじめてだらけで、何から手を付けてよいのか分からないという方が殆どではないかと思います。そこで、どのように優先順位を付けていくのかが非常に大事になってきます。いくらでも予算があれば、全てのものにお金をかけていけば良い。
しかし、今のところ予算はいくらでも良いというお客さまにはお会いした事がありません。皆さん、限りある予算の中からできるだけ良い住宅を建てたいと思っていらっしゃいます。その予算配分を適切にできるか。そのためには自分にとって何が重要なのか整理しておく必要があります。
そもそも、なぜ注文住宅を建てるのか。やはり、注文住宅を建てることで今より生活が豊かにしたいからではないでしょうか。では、暮らしが豊かになるとはなんでしょうか。具体的には以下のようなものが考えられます。
① 安心して暮らせること
② 快適に暮らせること
③ 家計が楽になること
④ 家事楽になること
⑤ デザインが優れていること
この辺りが達成できると良いのではないかと思います。順番的にも①~⑤の順番に達成していけると良いと思っています。それぞれを達成するためには、こういった家づくりをする必要あります。
① 地震に強い、耐久性が高く長持ちする家づくり
② 断熱性、パッシブデザイン、冷暖房計画
③ ②の家づくりをできるだけコスパよく達成する。
④ 家事導線や、収納のバランスが取れた使いやすい間取り計画
⑤ 建物の形として均整がとれていること、統一感のある色味やデザインであること。
上位3つが達成されていれば、もしデザインがダサかったとしても暮らしとしての満足感は高いと思います。夏涼しくて、冬はあったかい建物に電気代が安く住める、しかも地震時にも強くて安心して暮らせる。長く住んでいたい家といえるのではないでしょうか。
では④と⑤だけが達成できている家の場合はどうでしょうか。お友達からはかっこいい家だねと褒められるし、自分も眺めていて美しいと満足できます。家事導線もしっかり考えられているので、家事負担は軽減されます。でも、夏は暑くてたまらないし、冬は寒くて朝起きるのがつらい。毎月の電気代も高くて電気料金をみるのが恐ろしい。
前者と後者だと、前者の方が豊かな暮らしが達成できているといえるのではないかと思います。しかし、計画中は実際に暮らしたときの温熱環境や、光熱費というものが肌感覚としてわからない。
そのため、断熱性能、耐震性能、耐久性の基本的なところを削ってでも、デザインをよくしたいという事になりやすいなと思います。特にキッチン等の設備は、少し上位グレードのものを選択するだけで、100万円単位で増額になることもよくあります。
100万円あれば、低性能ハイブリッド窓をすべて樹脂窓にすることが出来ます。すでに樹脂窓になっていたらペアからトリプルにグレードアップできます。
ただ、そんなことを言われても自分で性能のところの調整していくのは難しいのではないかと思います。まずは、住宅会社選びの時にしっかり営業さんに色々と質問してみてください。
・気密測定はしていますか?
・実際に引き渡ししたお客様の家の高熱費はどれくらいですか?
・お家の燃費性能はどれくらいですか?
・全棟冷暖房負荷シミュレーションしていますか?
・家の耐久性に対するこだわりはありますか?
これらの質問をすることで、その会社と営業マンさんのレベルがわかってくると思います。全ての質問に対して、データやシミュレーション、根拠を持って答えてくれたらかなり信頼できる会社さんかなと思います。
しっかり信頼できる会社選びが出来れば、そこに性能の事を任せてしまってよいと思います。その上で、間取りづくりやデザインを楽しめばよいです。性能については、会社選びで9割決まってしまいます。
お家づくりの優先順位、是非なぜ住宅を建てるのか。建てた後、今より何が良くなっていたいのか、そこから考えて頂ければと思います。そのあたりを考えていないと、どうしてもデザインばかり目がいってしまいます。
2023年9月9日
株式会社小栗材木店
常務取締役 小栗 良太