建物の安全性を支える「構造計算」は、設計段階で欠かせない重要なプロセスです。
近年、建築基準法の改正により、これまで構造計算が省略可能だった建物についても、その必要性が増しています。
これにより、建物の強度や耐久性、そして何よりもそこに住む人々の安全を守るための構造計算の役割が、改めて注目されています。
今回は、構造計算の基本的な考え方から、その種類について解説していきます。
構造計算とは?
建築物の安全性を確かめる
構造計算とは、建築物が地震や風、積雪といった様々な外部からの力に対して、安全に耐えられるように設計されているかを確認するための計算です。
建物の構造が、設計された強度や耐久性を満たしているかを、定められた方法を用いて算出します。
これにより、建物が倒壊したり、重大な損傷を受けたりするリスクを低減し、居住者の安全を確保します。
地震や荷重への耐久性を確認する
具体的には、建物自体の重さ(固定荷重)や、人や家具などの重さ(積載荷重)、屋根に積もる雪の重さ(積雪荷重)といった「鉛直荷重」に加え、台風の強風や地震による揺れといった「水平荷重」など、建物にかかる様々な力を想定します。
これらの力が、柱や梁などの構造部材にどのように伝わり、どれほどの負担がかかるのかを詳細に計算し、部材の強度や耐久性が十分であることを確認します。

構造計算の種類を紹介
構造計算には、建物の規模や構造特性に応じて適用される、いくつかの計算方法(ルート)があります。
これらのルートは、建築基準法に基づき、建物の安全性を多角的に検証するために定められています。
ここでは、代表的な3つのルートについて解説します。
ルート1:許容応力度計算
ルート1は、建物自体の重さや積載荷重、地震・風などの外力によって構造部材に生じる応力度(力による内部の抵抗力)が、使用する材料の許容応力度(材料が耐えられる最大の応力度)を超えないかを確認する計算方法です。
主に中規模建築物などが対象とされ、建物の日常的な使用における安全性と、自然災害発生時の基本的な安全性を確保することを目的としています。
ルート2:許容応力度等計算
ルート2は、ルート1の許容応力度計算に加え、地震や暴風などによって建物に生じる変形量や、上下階の剛性のバランスなどを評価する計算方法です。
これにより、建物の部材にひずみが生じた場合でも、建物全体が著しく傾いたり、倒壊したりしないように、構造的な安定性をより詳細に検証します。
ルート3:保有水平耐力計算
ルート3は、大規模な地震が発生した場合に、建物が部分的な損傷を受けつつも、最終的に全壊に至らない「保有水平耐力」を計算する方法です。
主に大規模建築物などに適用されますが、不整形な建物やバランスの悪い建物でも任意で活用できます。
この計算により、建物がある一定以上の地震エネルギーを吸収し、粘り強く耐えられる変形性能を有していることを確認します。

まとめ
構造計算は、建築物の安全性を確保し、人々の暮らしを守る上で不可欠なプロセスです。
建物にかかる様々な荷重や力に対して、構造部材が十分に耐えられるかを検証することで、地震や風雨といった災害に対する耐久性を確認します。
構造計算には、建物の規模や特性に応じて「ルート1:許容応力度計算」「ルート2:許容応力度等計算」「ルート3:保有水平耐力計算」といった複数の種類があり、それぞれの目的に応じて使い分けられています。
近年の法改正により、構造計算の重要性が一層増しており、安全な建築物を実現するため、これらの計算方法を理解することが重要です。

