お客様が本当に快適で満足する住宅を提供するために、当社が目指しているのは、夏涼しく冬暖かい住宅をトータルコストで安く実現することです。あくまで、高気密高断熱は手段であって目的ではありません。
上記を目指すために、ほとんどの工務店が同じようなステップを踏むことになります。上記3ステップです。
①高気密高断熱化する。
②太陽に素直な設計(パッシブ設計)に取り組む。
③冷暖房負荷計算による空調計画をする。
この順番です。もちろん当社もこの順番で高性能化に取り組んできました。①から③になるにつれて難易度が上がって行きますが、実は①から③にあがるに連れてコスパがよくなります。
①高断熱化については、断熱材の性能×厚み、高性能サッシを使用するなど、性能を上げれば上げるほどお金が掛かります。高気密化はある程度までは、設計上の納まりの工夫でできますが、超高気密を目指すとどんどん施工手間が掛かります。① の項目は取り組めば、暖房費は下がりますが、建築コストも上がる項目になります。
②パッシブ設計については、設計上の工夫になりますので、それ自体では建築コストはあがりません。具体的には、日影を読み解いて、日当たりの良いところにリビングを配置する、窓を配置する。庇やシェード、窓のサイズを変えて、夏の直射日光を遮る等の工夫になります。冷暖房費は下がりますが、建築コストはあがりません。
③ 冷暖房負荷計算による空調計画について、こちらが最も難しいですがコスパが良い項目になります。① と ② がある程度のレベルで実現出来るようになると、実質的に1台のエアコンで全館暖めたり、冷やしたりすることが可能になります。
各部屋にエアコンを付ける場合は、4~5台のエアコンが必要ですが、適切な空調計画を実施すると1~2台のエアコンで家中を快適にすることができるのです。これは、そもそもエアコン台数が減るので初期コストが削減できます。
また、4~5台のエアコンと比較して効率がよくなるため、冷暖房費の削減もできます。そして交換費用も少なくて済みます。つまり③ を実現できると建築コスト、メンテンスコストを下げながら、冷暖房費も削減することが可能になります。
コスパの観点から見ると③ ⇒ ② ⇒ ① の順で取り組むのが良いのですが、そもそも③を取り組もうという工務店は①と②はすでにできている場合が多いです。2030年に断熱等級5が義務化されると、断熱等級は当たり前になってきます。
①、②、③のどのレベルまで取り組まれているかで工務店の性能の差別化になってくるのかなと思います。是非、冷暖房負荷を計算した上で空調計画を提案してくれるような工務店を探してみてください。
2023年11月1日(水)
株式会社小栗材木店
常務取締役 小栗 良太