断熱等級7vs〇〇工法の家

 

日射コントロールをするためのシェードの図解

 ある断熱工法のYoutube動画で、断熱等級7とある断熱工法を用いた断熱等級4での実験結果を解説した動画をみました。結論として、断熱材はあまり意味がないという方向に持っていく動画でした。実験データ自体は、おそらく嘘ではないと思うのですが、本当のデータを用いて間違った結論も導いているよくあるパターンかなと思って拝見しました。

 実験は、6月のある日の室温データをみたものです。断熱等級7は室温が28℃ を超えて、〇〇断熱の家は25℃中盤でまだエアコンがいらない室温でした。よって、断熱は意味がないという結論に導いていました。

 ちょっと乱暴な論理展開でびっくりしてしまいました。断熱は断熱材で高めてはいけないというような事も書いてあって、絶句してしまいました。

 実際、夏場に関しては高断熱のほうが無冷房時の室温が高くなってしまうことがあります。それは日射遮蔽が失敗しているからです。特にシンプルモダン系の軒ゼロ住宅の場合、夏の太陽の光が直接室内に降り注ぎます。

 高断熱住宅の場合、一般的な住宅として熱が逃げにくい環境をつくっています。つまり直射日光で、太陽の光が入ってくる場合、その熱も外に逃げていかなくなってしまいます。だからこそ、夏に関しては断熱と日射遮蔽はセットで考える必要があります。

 高断熱住宅に住んで、冬は温かいけど、夏は熱くてたまらないという話は実はあるあるです。今回のYoutubeでは断熱性能についての条件だけで、日射遮蔽の状況は記載されていませんでした。おそらく、日射遮蔽が出来ていないまたは、意図的にしていない住宅なのではないかと思います。

 夏場の冷房負荷を下げるために必要な要素としては、断熱性、気密性、日射遮蔽この3つが揃っている必要があります。Youtubeは、手軽にいろいろな情報収集ができる反面、間違った情報も溢れています。是非、注意深く情報収集して頂ければと思います。

2024年7月12日

株式会社小栗材木店

常務取締役 小栗良太