当社では、床下エアコンを採用しているため基礎断熱を標準仕様としています。床断熱と比較して、懸念されるのがシロアリについてです。床の断熱をどうするかで、シロアリのリスクを順位付けするとこんな感じです。
リスク低 床断熱工法
リスク中 基礎内断熱工法
リスク大 基礎外断熱工法
基礎断熱において、最も断熱的に有利なのが基礎外断熱工法になります。基礎の立ち上がりの外側をぐるりと断熱することが出来るので、熱橋と呼ばれる弱点をなくすことが出来ます。
しかし、最もシロアリリスクが高くなるのも、この基礎外断熱工法になります。実際にシロアリが生息している外部に直接断熱材があるので、防蟻材入り断熱材を使用したとしてもリスクが高い。
断熱材にシロアリが入らないような金属製の網を巻き込む工法も存在しているようですが、当社は完璧に施工できる自信がないため基礎外断熱は採用していません。
そういった意味で、断熱的には若干不利ですが基礎内断熱を採用しています。これだけでも基礎外断熱に比べてリスクを軽減出来ます。
その上で、当社では3重のシロアリ対策を実施しています。
- 基礎止水プレートの施工
- シロアリ返し付き気密パッキンの採用
- ホウ酸による防蟻処理の実施
以上です。それぞれ、解説していきます。
まず、基礎止水プレートについてです。大前提として、シロアリが住宅内部に侵入することを防ぐことが最も重要なことになります。2、3の対策は万が一シロアリの侵入を許してしまった後の対策になるので、1,が最も重要な対策になります。
シロアリの侵入経路のひとつに、ベタ基礎の打ち継ぎ部分からの侵入があります。基礎一体工法による場合は心配がありませんが、一般的に基礎は土間と立ち上がりの2回に分けて生コン打設をします。そうすると、1回目と2回目の打ち継ぎ部分がどうしてもできてしまいます。
そこが侵入経路のひとつとなります。そこで、生コン打設前に打ち継ぎ部分となる箇所に上の写真のような金属製のプレートを挟み込むことで、打ち継ぎ部分からの侵入を防止します。そこまで高価なものではないのですが、効果抜群のため当社ではこちらを標準仕様としています。
また、給排水の配管部分も侵入経路となるため、防蟻材入りのシーリング材で侵入経路を塞いでいます。これで、侵入経路をほとんど塞ぐことが出来ています。
第2の対策は、万が一基礎内部にシロアリが入ってしまった場合の対策です。結局、木部を食べられるのが怖いので、土台まで登ってこられないようにするのが重要です。シロアリ返し付き気密パッキンは、こんな感じのものになります。
シロアリ返しという羽のようなものがついていて、ここまでシロアリが登ってきても、ポトリと落ちてしまうという仕組みです。これといくつかの条件をクリアするとjotoさんが10年間1,000万円の補償を無料でつけてくます。
第3の対策は万が一土台までシロアリがあがって来てしまった場合の対策になります。一般的なシロアリ対策は、土台と外周部の柱の地盤から1mのところに農薬系の薬剤を塗布する方法です。
これは、床下エアコン等の基礎内部を暖房経路として使用する場合には適しません。家中に農薬の匂いが充満してしまうからです。また、揮発によって5年で効果が切れてしまいます。
工務店やハウスメーカーの多くが、5年に一度の防蟻処理を推奨しているのは、このためです。当社が推奨しているホウ酸は、無味無臭なため床下エアコンで温風を基礎内に送り込んでも問題になりません。
また、水に濡れない限りは効果が半永久的に持続するため、再処理の必要がありません。欧米の防蟻処理はほとんどがホウ酸をつかってものとなっているようです。
ホウ酸には忌避性はないのですが、ホウ酸処理された木材をシロアリが食べるとホウ酸が体内に堆積して死んでしまいます。人間のような肝臓を持つ動物は、少量接種したとしても分解が可能なため安全です。
せっかく耐震等級3でお家を建てたとしても、シロアリに食べられてボロボロでは意味がありません。シロアリと無縁で安心な家を提供したい思いから、3重の対策を実施しています。
2023年9月7日(木)
株式会社小栗材木店
常務取締役 小栗 良太