完成すると見えなくなる「家の中身」を構造見学会で確認
注文住宅を検討するとき、間取りやデザイン、設備などは比較しやすい一方で、断熱・気密・耐震といった住宅性能を支える部分は、完成するとほとんど見えなくなります。
だからこそ、建築途中の住まいを見られる「構造見学会」は、どのような材料が使われ、どのように施工されているのかを実際に確認できる機会です。
今回は、お施主様のお住まいをお借りして開催した構造見学会の現場から、外壁の断熱、気密性能、制震、耐震、換気、基礎断熱、シロアリ対策などをご紹介します。
恵那市・中津川市・瑞浪市など東濃エリアで注文住宅を検討している方や、「高気密高断熱の家は何が違うの?」「構造見学会ではどこを見ればいい?」と気になっている方は、家づくりの参考にしてみてください。
実際の構造や施工の様子は、YouTubeでも詳しくご覧いただけます。
外側から断熱する「湿式外張り断熱工法」
りょうた:
まずは外壁ですね。今は下地の状態になっています。
小栗材木店では「湿式外張り断熱工法」を採用していて、外側に5cmの発泡スチロールの断熱材を張っています。
この平べったい「ワッシャー」というもので、断熱材を押さえています。
この上からモルタルで下塗りをして、ガラスファイバーのメッシュをかけて、その上から左官の仕上げ材「ジョリパット」を塗って仕上げていきます。
おぐみゆ:
今はまだ、仕上げる前の状態なんですね。
りょうた:
そうですね。
5cmの断熱材があるので断熱性能を高められますし、継ぎ目なく仕上げられるのも特徴です。
耐久性や意匠性も含めて、小栗材木店ではこの工法を標準で採用しています。
完成後には確認しにくい外壁の断熱方法
外壁が仕上がると、その内側にどのような断熱材が使われ、どのように施工されているのかは見えなくなります。高気密高断熱の家を検討するときは、完成後の見た目や設備だけでなく、外壁の内側がどのような構成になっているのかも確認しておきたいポイントです。
吹き付け断熱と気密測定で確認する住まいの性能
りょうた:
中に入ってきました。
今は断熱材の吹き付け工事が完了したところです。
周りを見ていただくと、壁と天井、屋根の部分にピンク色の断熱材が敷き詰められています。
かなりきれいに施工していただいて、隙間なくぴったり入っています。
気密性能を表す「C値」とは?
りょうた:
一昨日、この建物の気密測定をしました。
気密性能を表す数値として「C値」というものがあるんですけど、今回の測定結果はC値0.1でした。
C値は、数字が小さいほど家の隙間が少なく、気密性が高いことを表しています。
一般的なハウスメーカーさんだと、C値0.5や1.0くらいというところもあります。
それと比べても、0.1というのはかなり気密性の高い数値です。
おぐみゆ:
実際に建てた家で測るんですね。
りょうた:
そうですね。隙間を徹底的に埋めたうえで、現場で測定しています。高気密というのは「高気密です」と言うだけでは分からないので、実際に測って数値で確認することが大切だと思います。
他社との比較にも使えるC値
C値は住宅の気密性能を数値で確認するための指標で、数値が小さいほど隙間が少ないことを表します。「高気密高断熱の家」と紹介されていても、その性能は住宅会社によって異なります。工務店やハウスメーカーを比較するときは、気密性能についてどの程度のC値を目安としているのか、さらに実際の住宅で気密測定を行っているのかまで確認しておくと比較しやすくなります。
外張り断熱と吹き付け断熱を組み合わせた断熱構造
先ほど外側から見た5cmの断熱材と、室内側から確認したピンク色の吹き付け断熱材。こちらの住まいでは、この2つを組み合わせた断熱構造になっています。
りょうた:
先ほど外張り断熱を見ていただいて、中では吹き付けの断熱材を見ていただきました。
実際の構成としては、外側に5cmの発泡スチロールがあって、中に吹き付けのウレタンフォームがあります。
このピンク色のものは、普通の白いタイプと比べて性能が高く、湿気も通しにくいものを使っています。
外と中を合わせると、これだけの厚みになります。
おぐみゆ:
実際に見ると、かなり厚みがありますね。
りょうた:
吹き付け工事をする前は、大工さんたちも結構汗をかきながら作業されていたんですけど、断熱材を施工してからは違います。
今日見学に来られた方からも、中に入った瞬間に「まだエアコンがついていないのに、すごく涼しいね」と言っていただきました。
日射が入らないようにする工夫と断熱材の効果を組み合わせることで、室内の環境を保ちやすくしています。
断熱材だけでなく日射への配慮も大切
室内の快適性を考えるときは、断熱材の性能だけを見るのではなく、窓から入る日射への対策なども含めて考えることがポイントです。断熱と日射への配慮を組み合わせることで、外の暑さの影響を受けにくい住まいにつながります。
制震ダンパー「MIRAIE」で地震の揺れを吸収
こちらの住まいでは、地震対策の一つとして制震ダンパー「MIRAIE(ミライエ)」も設置されています。
構造見学会では、実際の装置だけでなく、模型やゴムボールを使いながら仕組みを確認しました。
りょうた:
これがMIRAIEの模型です。
ここにゴムがあって、実際に動く様子が分かるようになっています。
こちらに2つゴムボールがあるんですけど、一つは一般的なゴムボールで、もう一つがダンパーに使われているものです。
落としてみると、普通のボールは弾みますよね。
一方でこちらは、ほとんど弾みません。
おぐみゆ:
本当ですね。
りょうた:
衝撃を吸収してくれるので弾まないんです。
このゴムがダンパー部分に使われていて、地震の揺れによる衝撃を吸収する仕組みになっています。
実際の建物に設置されたMIRAIE
りょうた:
実物を見ると、結構大きいと思います。
この中に、先ほど模型で見ていただいたゴムが入っていて、揺れの衝撃を吸収します。
こちらのお家では4台設置しています。
建物の大きさによって設置台数の規定があって、40坪を超える大きなお家では6台になります。
こうした装置を設置することで、地震によるダメージを逃がしたり、揺れを抑えたりする仕組みになっています。
耐震とあわせて確認したい制震の考え方
地震への備えを考えるときは、建物そのものの強さだけでなく、地震の揺れをどのように抑えるのかという視点もあります。構造見学会では、完成後には壁の中に隠れてしまう制震装置の大きさや設置場所まで実際に確認できます。
耐震等級3は「認定」まで確認
小栗材木店では耐震等級3を標準としており、今回の住まいでも耐震等級3の認定を取得しています。
りょうた:
ここに柱があって、こちらが梁や桁と呼ばれる部分です。
見てもらうと、太いものと細いものがありますよね。
おぐみゆ:
本当ですね。全部同じ太さではないんですね。
りょうた:
一本一本、屋根からかかる荷重を計算しています。
荷重が大きくかかるところは太くなっていたり、ここは大丈夫というところは細くなっていたりします。
このお家の構造計算書もこれだけの厚みがあります。
自社で計算していて、僕が毎回計算しています。
おぐみゆ:
これを一棟ずつ計算しているんですね。
りょうた:
そうですね。
計算したものを審査機関に提出して、OKをもらうと認定書が出ます。
「耐震等級3相当」と「耐震等級3」の違いも確認
りょうた:
「耐震等級3相当」としている会社さんもあります。
もちろん同じような計算をしている会社さんもあると思いますが、「相当」だと、どこまで確認しているのかがお客様からは判断しにくいところがあります。
なので、家づくりをするときには、どういう計算をしているのか、認定まで取っているのかを確認してもらうと安心だと思います。
認定を取得している場合は、地震保険の割引もあります。
「耐震等級3」という言葉だけでなく確認方法までチェック
工務店を比較するときは、「耐震等級3」「耐震等級3相当」といった表示だけを見るのではなく、どのような構造計算を行い、第三者機関による認定を取得しているのかまで確認しておくと、各社の耐震への考え方を比較しやすくなります。
耐力面材と筋交いは「量」だけでなく配置も重要
りょうた:
実際に耐震等級を取るために、どういうところを補強しているのかも見ていきます。
外側はもう隠れてしまっているので見えないんですけど、壁の外側には「耐力面材」というものを張っています。
面で釘を打って、地震に耐えられるようにしています。
中はこちらですね。
バッテンが並んでいるところが「筋交い」と呼ばれるもので、地震が来たときに建物を支える役割があります。
おぐみゆ:
これは、入れられるところに入れているわけではないんですか?
りょうた:
そうではなくて、どこに配置するかというバランスも考えながらつくっています。
建物には「重さの中心」と「硬さの中心」があります。
筋交いなどで固めているところは硬くなるんですけど、それが偏っていると、重さの中心と硬さの中心がずれてしまいます。
そうすると、地震が起きたときに建物がねじれやすくなるんですね。
おぐみゆ:
なるほど。
りょうた:
なので、重さの中心と硬さの中心ができるだけ合うようにすることが大切です。
ただ強い壁をたくさん入れればいいというわけではなくて、建物全体のバランスを考えながら強さを確保しています。
耐震性能は建物全体のバランスも確認
地震に強い家を考えるときは、耐力面材や筋交いが使われているかだけでなく、建物全体のバランスを考えて設計されているかも大切なポイントです。工務店を選ぶ際には、耐震等級だけでなく、どのような考え方で構造計算や耐震設計を行っているのかも確認しておくと、各社の違いを比較しやすくなります。
約30坪でも20畳のLDKを確保する設計の工夫
構造を確認しながら、実際の間取りについても見ていきます。
りょうた:
こちらがリビングです。
結構広いと思うんですけど、ここからここまでで20畳あります。
30坪というと、かなりコンパクトなお家だと思うんですけど、それでも設計を工夫することで、20畳くらいのLDKをしっかり取ることができています。
先ほどお施主様にも見に来ていただいたんですけど、「すごく広いリビングで、暮らしの想像が湧く」と喜んでいただきました。
床面積だけで判断しない間取りの考え方
家全体の坪数が限られていても、設計によってLDKなど希望する場所に必要な広さを確保できる場合があります。「何坪の家にするか」だけでなく、家族がどこでどのように過ごしたいのかを整理し、限られた床面積をどう配分するかも注文住宅の間取りを考えるポイントです。
高気密高断熱住宅で採用する同時給排気型のレンジフード
続いては、キッチンの換気についてです。
一般的なレンジフードとの違いを理解するためには、まず「排気した分の空気がどこから入ってくるのか」を考える必要があります。
りょうた:
ここにキッチンがつく予定で、こちらにIHが入ります。
見ると、ダクトが2つありますよね。
一般的なレンジフードは換気扇なので、室内の空気を外に捨てるという機能になっています。
ただ、換気扇は風量がすごく強いので、例えば冬に室内の空気をそのまま外へ捨てると、その分、いろいろなところから外の空気を引っ張ってきてしまいます。
せっかく暖めた空気をたくさん捨ててしまうことになるので、小栗材木店では「同時給排気型」の換気扇を使っています。
こちらが空気を捨てるためのダクトで、もう一つが新鮮な空気を入れるためのダクトです。
ここから新鮮な空気を入れて、近くから排気するので、ほかの場所から空気を強く引っ張ってくる必要が少なくなります。
高気密高断熱住宅では、こういった換気方法が有効になります。
給気側のダクトにも結露対策
りょうた:
給気側だけダクトが少し違います。
冬の冷たい空気を直接入れるので、普通のダクトを使うと結露が発生して、水が落ちてくる可能性があります。
住み始めてから「雨漏りしたのかな?」となる可能性もあるので、ここには断熱材で巻いたダクトを使っています。
かなり細かいところなんですけど、後から見えなくなる部分なので、こういうところも重要です。
換気設備は給排気や結露対策まで確認
高気密高断熱の家では、断熱・気密性能だけでなく換気の計画も重要です。レンジフードなど大きな風量で排気する設備について、どのように給気を確保しているのか、外気を取り込むダクトの結露対策まで考えられているかも、家づくりで確認しておきたいポイントです。
床下エアコンを活かすための基礎断熱
こちらの住まいでは床下エアコンを採用しているため、床下の空間も断熱しています。
完成すると見えにくくなる基礎部分も、構造見学会だからこそ確認できる場所です。
りょうた:
こちらが「基礎断熱」と呼ばれるものです。
こちら側が外になるんですけど、基礎の立ち上がり部分と、そこから折り返して70cmのところまで断熱しています。
かなり性能の高い断熱材を5cm施工しています。
床下エアコンでこの空間を暖めるので、その熱ができるだけ外へ逃げないようにするための工夫です。
基礎から考えるシロアリ対策
基礎部分には、断熱だけでなくシロアリへの対策も施されています。
小栗材木店では、一つの対策だけに頼るのではなく、シロアリの侵入や建物内部への移動を段階的に防ぐ考え方を採っています。
万が一侵入した場合に備える「蟻返し」
りょうた:
ここにピロピロっと見えているものがありますよね。
これは「蟻返し」です。
まずシロアリが入らないように、いろいろなところで隙間を埋めています。
それでも万が一入ってしまった場合に、そのまま上へ上がっていけないように、蟻返しをぐるっと全周につけています。
ここで落としてあげるための対策ですね。
ホウ酸を使った防蟻処理
りょうた:
それでも上がってきてしまった場合に備えて、土台と柱の部分には「ホウ酸」という防蟻材を使っています。
一般的には農薬系のものを散布する方法もあるんですけど、そういったものは時間が経つと効果がなくなるため、定期的な再処理が必要になります。
小栗材木店では床下エアコンを採用しているので、床下に農薬系の薬剤を散布すると、エアコンの風によって薬剤のにおいなどが室内に上がってくることも考えられます。
そのため、ホウ酸を使っています。
水に流されない限り効果が長く続くので、一度処理することで長期間の効果が期待できます。
侵入を防ぎ、入った場合にも備える複数の対策
りょうた:
考え方としては、まず入らないように隙間を埋める。
もし入ってしまったら蟻返しで落とす。
それでも上がってきた場合にはホウ酸で対策する。
この3つの対策をしています。
さらに床下エアコンで風が回っていると、シロアリは風を嫌うので逃げていきます。
完成後のメンテナンスまで考えたいシロアリ対策
新築時のシロアリ対策を比較するときは、「防蟻処理をしているか」だけでなく、どのような方法や薬剤を採用しているのか、その効果がどのくらい続くのか、将来的に再施工が必要なのかまで確認しておくことがポイントです。長く暮らす家だからこそ、建築時だけでなく、その後のメンテナンスまで含めて比較しておくと安心です。
床下の暖かい空気を家全体へ循環
りょうた:
ここは今、隙間が開いていますよね。
この部分で柱などを支えています。
床下エアコンの空気は基礎の中でもつながっていて、ここもつながっているので、ここから暖かい空気がずっと循環する仕組みになっています。
床下で暖めた空気を家全体に回して暖めていきます。
こういう部分も、完成すると見えなくなってしまうところですね。
床下エアコンは床下のつくりまで確認
床下エアコンを検討するときは、エアコンそのものだけでなく、床下の断熱や暖かい空気を循環させるためのつくりも含めて考える必要があります。設備の名称だけで比較するのではなく、「どのような仕組みで家全体を暖めるのか」を確認することも大切です。
完成してからは見えない部分まで確認する構造見学会
おぐみゆ:
一通り見てきましたけど、実際に現場で家の中を見る機会ってなかなかないですよね。
私たち社員でも、普段現場に出ている人以外はなかなか見ることがないので、「床下エアコンってこういうふうに効かせるんだ」とか、「MIRAIEって実際にはこうなっているんだ」とか、いろいろ分かりました。
りょうた:
そうですね。
柱や梁の太さが場所によって違うことだったり、完成してからは見えなくなってしまう部分だったり、構造の段階だからこそ確認できることがたくさんあります。
今回の構造見学会でも、来ていただいた方にそういった部分をご説明しました。
これからも住宅性能や構造について、疑問に思われることにしっかり答えられるように情報発信していきたいと思います。
完成後には見えない部分を確認できる機会
構造見学会では、完成見学会では隠れてしまう断熱材や耐力面材、筋交い、制震ダンパー、基礎断熱、換気用のダクトなどを実際に見ることができます。高気密高断熱や耐震性能といった言葉だけで判断するのではなく、「どのような材料を使い、どのように施工しているのか」を確認できることが、構造見学会の大きな特徴です。
住宅性能は「数値」と「実際のつくり」の両方を確認
今回ご紹介した住まいでは、外張り断熱と吹き付け断熱による断熱構造、実測C値0.1の気密性能、耐震等級3の認定、制震ダンパーMIRAIE、同時給排気型のレンジフード、基礎断熱、シロアリ対策など、完成すると見えなくなるさまざまな部分を確認しました。
注文住宅の性能を比較するとき、「高気密高断熱」「耐震等級3」といった言葉だけでは、実際にどのような家づくりが行われているのかまでは分かりません。
たとえば気密性能なら、C値を実際の建物で測定しているのか。耐震性能なら、どのような構造計算を行い、第三者機関による認定まで取得しているのか。さらに、断熱材や耐力面材などが現場でどのように施工されているのか。
こうした完成後には確認しにくい部分まで知ることが、工務店やハウスメーカーを比較する際の一つの判断材料になります。
完成した住宅を見るだけでなく、機会があれば構造見学会にも足を運んでみると、住宅会社ごとの性能や家づくりへの考え方をより具体的に比較できます。
家づくりの疑問を実際の住まいを見ながら確認
小栗材木店では、完成した住まいのデザインや間取りだけでなく、断熱・気密・耐震など、長く暮らしていくうえで大切な住宅性能についても分かりやすくお伝えしています。
「高気密高断熱の家について詳しく知りたい」「C値や耐震等級について聞いてみたい」「床下エアコンの仕組みを実際に見てみたい」など、家づくりを考え始めるとさまざまな疑問が出てくるものです。
恵那市を中心に、中津川市・瑞浪市など東濃エリアで注文住宅をご検討の方は、見学会や家づくり相談を通して、気になる住宅性能や構造についてお気軽にご相談ください。


