断熱等級4と6、どっちがコスパいい?30年の光熱費・設備費まで比較

注文住宅を検討していると、

「断熱性能を上げると建築費が高くなる」

「断熱等級4でも基準を満たしているなら十分なのでは?」

「高断熱住宅は、追加でかかる費用を本当に回収できるの?」

と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

確かに、家を建てるときの初期費用だけを比較すれば、断熱性能を抑えた住宅の方が安くなります。

しかし、住宅は建てた瞬間だけでなく、その後30年、40年と住み続けるものです。

そのため小栗材木店では、

「建築費だけではなく、光熱費・設備交換費・メンテナンス費まで含めたトータルコストで考えること」

が大切だと考えています。

今回は、断熱性能によって家づくりのコストがどのように変わるのかを、実際の住宅設計・施工に携わる工務店の立場から解説します。

断熱等級とは?

断熱等級(正式には「断熱等性能等級」)とは、住宅の断熱性能を示す指標です。

数字が大きいほど、高い断熱性能が求められます。

2025年4月からは原則としてすべての新築住宅で省エネ基準への適合が義務化されました。

ここで注意したいのは、

「法律上建てられる最低ライン」と「長く快適に暮らすために選びたい性能」は必ずしも同じではない

ということです。

家は30年、40年、場合によってはそれ以上住み続けます。

今の最低基準だけを見るのではなく、これから長く住むことを前提に断熱性能を検討することが重要です。

断熱性能が高い家は初期費用が高くなる

分かりやすく、2つの住宅を比較してみましょう。

A:断熱性能を抑えた家

建築費:2,500万円

B:断熱性能を高めた家

建築費:2,700万円

仮に200万円の差があれば、

「2,500万円の家の方がお得」

と思うのは当然です。

住宅ローンの金額も少なくできます。

しかし、これはあくまで家を建てた瞬間の価格です。

30年間住んだ場合まで考えると、見え方が変わってきます。

高断熱住宅は冷暖房費を抑えやすい

断熱性能が変わると、冷暖房に必要なエネルギーも変わります。

断熱性能の低い住宅では、

「リビングだけ暖房する」

「使っていない部屋のエアコンは切る」

「廊下や脱衣室は寒いけれど我慢する」

といった暮らしになりやすくなります。

一方、高断熱住宅は少ないエネルギーでも室温を維持しやすくなるため、家全体を快適な温度に保つことが容易になります。

動画内の当社シミュレーション例では、住宅性能や暮らし方などの条件によって、年間の冷暖房費に約7万円の差が出るケースを紹介しています。

仮に年間7万円の差が30年間続けば、

7万円 × 30年 = 210万円

です。

最初の建築費で200万円高かったとしても、単純計算では30年間の冷暖房費を含めると差が逆転する可能性があります。

もちろん、実際の光熱費は家の大きさ、間取り、設定温度、家族構成、地域、電気料金などによって変わります。

重要なのは、

「建築費が安いか」だけではなく「住んでからいくらかかるか」まで確認すること

です。

実は大きい「空調設備の交換費用」

さらに考えておきたいのが、設備の交換費用です。

断熱性能が十分でない住宅で家全体を快適にしようとすると、大きな能力の空調設備や特殊な全館空調システムが必要になる場合があります。

例えば、

「断熱性能を高くする代わりに、高性能な全館空調設備を入れよう」

という考え方です。

最初は快適かもしれません。

しかし、エアコンをはじめとした機械設備は永久には使えません。

10年、15年、20年と住んでいけば、修理や交換の時期がやってきます。

特殊な設備の場合、

  • 交換費用が高い
  • メーカーが限定される
  • 修理できる業者が限られる
  • 相見積もりを取りにくい

といった問題が起きる可能性もあります。

家を建てるときには設備の価格だけでなく、

「この設備が壊れたとき、いくらで交換できるのか?」

まで確認しておくことをおすすめします。

高断熱にすると一般的なエアコンでも快適にしやすくなる

小栗材木店が断熱性能を重視している理由の一つがここにあります。

家そのものの断熱性能を高くしておけば、冷暖房に必要なエネルギーを小さくできます。

すると、高額で特殊な設備に頼らなくても、一般的な家庭用エアコンを使って家全体を快適にする設計が可能になります。

小栗材木店では、住宅の性能や間取りを計算したうえで、床下エアコンや小屋裏エアコンなどを利用し、少ない台数の家庭用エアコンで家全体を空調する考え方を採用しています。

家庭用エアコンであれば、将来故障したとしても、

「一般的な家電量販店や設備業者で購入・交換できる」

というメリットがあります。

住宅を30年、40年使うことを考えると、この設備更新のしやすさも重要なコストです。

「壊れるもの」より「交換しにくいもの」にお金をかける

小栗材木店が家づくりで大切にしている考え方があります。

それは、

交換できない、あるいは交換しにくい部分に最初にお金をかける

ということです。

例えば、

  • 断熱性能
  • 気密性能
  • 構造
  • 耐久性
  • 外皮性能

などです。

キッチンやエアコン、給湯器などの設備はいつか交換できます。

しかし、完成した家の壁を剥がして断熱材を全面的に入れ替えるのは簡単ではありません。

断熱材は機械設備のように10年ごとに新品へ交換するものでもありません。

だからこそ、新築時にしっかり性能を確保する価値があります。

同じ2,700万円を使うのであれば、

「高価な設備に300万円かける」

のか、

「家そのものの性能を高めるために使う」

のか。

30年後まで考えると、大きな違いになる可能性があります。

外壁や屋根も同じ。「長持ちするもの」にお金をかける

この考え方は断熱だけではありません。

外壁や屋根などについても同じです。

例えば、初期費用が多少高くてもメンテナンス周期が長い材料を選べば、

10年ごとにメンテナンスする場合と、
20年、30年ごとで済む場合では、

長期間のトータルコストが変わります。

家づくりでは、

「最初にいくら払うか」ではなく、「その材料や設備に今後何回お金を払うことになるのか」

まで考えてみてください。

高断熱住宅のメリットは光熱費だけではない

断熱性能を高くする目的は、光熱費を安くすることだけではありません。

もう一つ大きなメリットが、

家の中の温度差を小さくしやすいこと

です。

例えば冬、

リビングは暖房で22℃なのに、
廊下は12℃、
脱衣室は8℃。

このような家では、部屋を移動するたびに大きな温度差が発生します。

高断熱住宅では、この温度差を小さくしながら家全体を快適に保ちやすくなります。

WHO(世界保健機関)の住宅と健康に関するガイドラインでも、寒い季節の一般人口を寒さによる健康影響から守るため、室内温度18℃が安全でバランスの取れた水準として示されています。

つまり断熱性能は、

「暖かい・涼しい」という快適性だけではなく、健康的な室内環境をつくるためにも重要

だと考えられます。

温度差を減らすことは家の耐久性にもつながる

冬に暖かいリビングで加湿をしていて、廊下や脱衣室だけ極端に温度が低いとどうなるでしょうか。

温かく湿った空気が冷たい場所に移動すると、条件によっては結露が起こります。

結露が続けば、カビなどの原因になる可能性があります。

そのため、

「リビングだけ暖かければいい」

ではなく、

家全体の温度差をできるだけ小さくすること

が、人だけでなく建物にとっても大切です。

断熱性能は高ければ高いほどコスパが良い?

ここで、

「それなら、とにかく最高性能まで断熱を上げればいいの?」

と思うかもしれません。

必ずしもそうではありません。

断熱性能を上げるための追加費用と、

  • 削減できる光熱費
  • 削減できる空調設備費
  • 将来の設備交換費
  • 快適性

を比較する必要があります。

例えば、断熱性能を高めるために200〜300万円追加するケースと、500万円、600万円追加するケースでは費用対効果が変わります。

住宅会社には、

「この断熱性能にするための追加費用はいくらですか?」

だけではなく、

「その結果、年間の冷暖房費はいくら変わりますか?」

「必要なエアコン台数は変わりますか?」

まで聞いてみることをおすすめします。

断熱性能だけを上げればよいのではなく、断熱・気密・日射取得・日射遮蔽・空調計画などをまとめて設計することが重要です。

断熱にお金をかけることは「将来の電気代を先に買う」こと

動画の中では、断熱性能を高めることを、

「将来使う電気代を先に買っておくようなもの」

と表現しています。

これは家づくりを考えるうえで分かりやすい考え方です。

断熱性能を高めれば、完成した瞬間に200万円が戻ってくるわけではありません。

しかしその後、

  • 毎年の冷暖房費
  • 必要な空調設備
  • 設備の交換費用

を少しずつ抑える効果が続きます。

しかも、その間ずっと快適性も得られます。

将来の電気料金がどうなるかを正確に予測することはできません。

だからこそ、できるだけ少ないエネルギーで暮らせる住宅にしておくことは、将来の光熱費上昇への備えにもなります。

家づくりでは「何にお金をかけるか」が重要

注文住宅では、誰にでも予算があります。

その限られた予算の中で、

  • キッチン
  • お風呂
  • 内装
  • 照明
  • 全館空調
  • 太陽光発電
  • 断熱
  • 構造

など、さまざまなものを選んでいきます。

もちろん、毎日使うキッチンや好きなデザインにお金をかけることも大切です。

ただし、予算配分を考えるときには、

後から交換できるものなのか?

家がある限り使い続けるものなのか?

という視点も持ってみてください。

私たちは、まず断熱や耐久性など「家の基本性能」をしっかりつくり、そのうえで設備やデザインに予算を配分することをおすすめしています。

まとめ|建築費ではなく「30〜40年間の総額」で比べよう

住宅会社を比較するとき、

「A社は2,500万円」

「B社は2,700万円」

という建築価格だけを見ると、200万円安いA社がお得に見えます。

しかし、住宅は建てて終わりではありません。

その後30年、40年と、

光熱費・設備交換費・メンテナンス費

を払い続けます。

だからこそ、本当にコストパフォーマンスの良い住宅を考えるなら、

① 建築費

② 冷暖房費

③ 設備費

④ 設備交換費

⑤ メンテナンス費

⑥ 快適性・室内環境

まで含めて比較することが大切です。

そして、家づくりの予算を配分するときには、

「いつか壊れて交換する設備」よりも、「後から交換しにくく、長く使い続ける家の基本性能」に最初にお金をかける。

これが、小栗材木店が考える長期的にコストパフォーマンスの良い家づくりです。

岐阜県恵那市・中津川市・瑞浪市・土岐市周辺で高気密高断熱住宅をご検討の方は、モデルハウスや完成見学会で、実際の室温や空気感もぜひ体感してみてください。

数字を見るだけでは分からない「家全体の暖かさ・涼しさ」を実際に体感すると、断熱性能にお金をかける意味がより分かりやすくなると思います。