みなさんこんにちは! 暮らしのお役立ちチャンネル。
岐阜県にある工務店、小栗材木店のりょうたです。
今回は、松尾設計室 代表取締役 松尾和也先生にご登場頂きました。
松尾先生が高気密・高断熱住宅をはじめたきっかけから、掘り下げてインタビューしました。
りょうた:皆さんこんにちは 岐阜県恵那市の工務店小栗材木店の良太です。
今回は、前回に引き継き、当社で積極的に取り入れている松尾式住宅設計術を考案した、
松尾先生にゲストとして登場して頂きました。先生今回もよろしくお願いします。
松尾:よろしくお願いします。
りょうた:当社の施工エリアの大半が5地域ということで、5地域の断熱性能をどこまで高めたらいいかなというところをお伺いします。
先生は、30年のトータルコストで最安となるのが、HEAT20のG2.5が良いということを発信されています。
5地域だったら実際どれぐらいのUa値を目安とするといいのでしょうか。
松尾:先程の講演の中で具体的に、かなり詳細なシミュレーションしたものをお見せしました。
あれは残念ながら6地域をベースに計算したものです。
あれと同じことを厳密に言うと5地域、もっと言うと例えばホームズ君とかで、恵那だったら恵那のデータでやらないと正確なところは分からないです。
でもほぼ間違いないのが、HEAT20のG2、この地域だったらUa値0.34ですか。
やっぱりそれは絶対クリアした方がいいと思います。
ただG2.5になったら、もう多分Ua値0.3とかそれぐらいになってくると思うので、そこまで狙うのがいいかどうかは、実際にはやっぱり手間暇かけて、先程の講演会でお見せしたExel1つにデータをまとめていました。
まあまあシミュレーションするのはめどくさいですよ。
でもそれをやると自信を持って、手間暇かけているものってやっぱ説得力があるので、シミュレーションしてみるのがいいのかなと思います。
りょうた:当社でもホームズ君を使っていますが、どうしても5地域の断熱等級6はUa値0.46、G2はUa値0.34というので、差が大きいです。
去年までUa値0.4台のお家を松尾式で建てていたのですが、温度ムラが出てしまったり、お客さんが期待してくださっているほど冷暖房費が下がらなかったというのもあり、今は全棟Ua値0.3前後で建てています。
松尾:そこら辺までやると全然違いますよね。
りょうた:やっぱり冷暖房費も下がるし、お客さんもお家がすごく快適と言ってくださるので、それぐらいはやっていくといいのかな。
この辺の地域でもUa値0.46の会社さんたくさんいるのですが、たくさん探してUa値0.34以下で建てる会社さんをやっと見つけましたと言ってもらえるくらい、いないですね。
松尾:はい。やっぱり等級6とG2はイコール、6地域だとほぼイコールですが、5地域は、国の等級がかなり甘々になってしまっていますので、G2の方をみて建てるほうがおすすめです。
りょうた:今は、どこの会社行っても高気密高断熱をうたっていない会社はないのではないかという状況です。
特にUa値やC値という数字が出てくると、やっぱりそこの競争ばかりに目が行ってしまう会社さんが多いのかなと思いますね。
先日、見学会へ来てくださったお客さんも、他社さんに行ったらUa値はすごく良かったけど、窓が小さくて家の中がすごく暗くかった。
小栗さんのとこはUa値良くて、窓も大きくて明るいですねって言われたのがすごく印象的でした。
その辺りの現状についてご意見いただければなと思います。
松尾:やっぱりUa値だけに頼る会社っていうのがすごく増えていて、Ua値だけに頼りながら値段もあまり上げたくないって思ったら、今窓の値段がすごく上がっているのもあって、自ずと窓が小さくなる。
しかもそれにプラスして、最近グレーのクロスを使う会社がめちゃめちゃ増えているっていうところもあって、そういったのが相まった結果、僕はこれ水商売かって思うような、ラウンジとかスナックに来たのかなっていうぐらい薄暗い住宅がめちゃめちゃ増えていますね。
具体的に建築基準法で言うと、床面積の1/7の面積を各部屋で取りなさいっていうのが建築士だったら誰でも知っていますが、1/7というのは最低基準であって、やっぱりほとんどの人が快適に感じる明るさっていうのは、床面積に対して1/5です。
床面積に対して1/5窓があったら、それ以上ある必要ってあまりないけれど、誰もが明るく爽やかだなって感じるのは目安として知っておいたらいいのかなと思います。
りょうた:他社さんの見学会などに行った時に、窓が小さかったりするとUa値が目標になってしまっている感じがしますね。
松尾:そうですね。目的は冷暖房費が安くなることですが、暖房費が安くなることを前提に言うと、Ua値が多少悪化しても南の窓は大きくした方が暖房費は下がりますね。
でもUa値が目的になると、Ua値は低くなったけれど、南の窓を小さくした事によって暖房費が高くなってしまったっていう家の方が多いですね。
でもほとんどの工務店さんは、そこまで勉強が進んでいないので知らないですよね。暖房負荷・暖房費を計算したことある工務店さんしかそれを知らないので、南の窓が小さい工務店さんは、断熱や省エネに関してそこまで詳しくない会社だという風に思ってもらっていいかなと思います。
ただ、今の話しはこの地域における話しであって、日本海側は必ずしもそうとは限らないです。
新潟や秋田などあの辺りは必ずしもそうとは言わないけれど、名古屋や岐阜などに関しては、間違いなく南は大きに越したことはないですね。
りょうた:ありがとうございます。Ua値だけに囚われないで、実際にシミュレーションをし、燃費性能で比較するということが大事ですね。
松尾:数値で言うとUa値は小さいに越したことはないけれど、同じUa値でUa値を0.1良くするために南の窓を小さくするのは違いますよっていうそういう意味ですね。
りょうた:ありがとうございます。小屋裏エアコンは今当社でも取り組んでおります。先日、最新の松尾式小屋裏エアコンver3のお家の完成物件を見学させていただきまして、ものすごく快適でした。
以前のバージョンからパワーアップをしたポイントを教えていただきたいなと思います。
松尾:そうですね。以前のバージョンだと温度が26℃で、湿度が60%とか。
温度下げていくのはいくらでも下げられたけれど、25℃でも湿度60%や65%。それぐらいが湿度の限界だったけれど、今度は湿度50%切るぐらいまで狙えるようになったっていうところ。
それからほとんどファンがいらなくなった。今まではカウンターアローファンであったり、FYの24というような小さなファンがいくつかあったけれど、そういうのが全然いらなくなった。
あと、各部屋の空気も外から入ってくる空気も、一旦全部1台の空気清浄機で綺麗にしてから各部屋に戻すというようにしたので、家中に空気清浄機が必要なくなった。
その1台でPM2.5や花粉の量もかなり少なくし、綺麗な空気にして各部屋に戻します。そして最後のポイントが、エアコンはやっぱり冷房で使っているとエアコン内がどうしてもカビなどで汚れてくるけれど、ドライバーが使える人だったらビスを取り、ドレインパンからかなり深いところまで自分で簡単に掃除ができますね。
そんな複雑な解体工程を得なくても、ドライバーで簡単に外していけて掃除ができるっていうは大きなメリットですね。
りょうた:除湿と空気清浄とメンテナンス性ですかね。
松尾:そうですね。
りょうた:その辺りが非常にパワーアップしたところですね。
松尾:そうです。
夏場に詰まって水が漏れるっていう事例であったり、それから数年以内にエアコンがガス漏れするという事体が、全国の住宅で結構多発してきているけれど、そういったことに対しても非常に強いなっていうのがver3のポイントですね。
りょうた:ありがとうございます。
今後は当社でも自社で計算をしてver3ができるようになります。
これからお問い合わせいただく方につきましては、ver3・ver2併用でご提案ができるようになるかなと思いますので、詳しく知りたい方はまた弊社までお問い合わせいただければなと思います。
本日は兵庫県明石市にある設計事務所松尾設計室の代表、松尾先生にお越しいただきました。
ありがとうございました。
松尾:ありがとうございました。
Youtube撮影日:2024年9月8日 @株式会社小栗材木店瑞浪モデルハウス
株式会社松尾設計室 代表取締役
プロフィール
松尾和也(まつお・かずや) 一級建築士・松尾設計室代表。1975年兵庫県出身。「夏涼しく冬暖かい住宅を経済的に実現する」ことをモットーに住宅設計を多数手掛けるほか、エコハウスに関する執筆や講演、技術指導を積極的に行う。YouTubeでも家づくり情報を配信。著作に「ホントは安いエコハウス」(日経BP)、「エコハウス超入門」(新建新聞社)、「これからのリノベーション断熱・気密編」(新建新聞社[共著])などがある。