「全館空調は快適そうだけど、設備が高そう」
「エアコン1台で本当に家中涼しくできるの?」
「小屋裏エアコンって普通のエアコンと何が違うの?」
高気密高断熱住宅を検討している方の中には、このような疑問を持っている方も多いと思います。
小栗材木店では、高気密高断熱住宅の性能を活かした空調方法として、松尾設計室の松尾和也先生が考案した松尾式小屋裏エアコン・床下エアコンを採用しています。
夏は小屋裏エアコン、冬は床下エアコンを使用し、一般的な家庭用エアコンで家全体を快適な温度に保つ考え方です。
そしてこの小屋裏エアコンがさらに進化したのが、
「松尾式小屋裏エアコンVer.3」
です。
今回は松尾設計室の松尾和也先生との対談をもとに、
- 松尾式小屋裏エアコンとは?
- Ver.3では何が変わった?
- 除湿性能はどう進化した?
- 空気清浄はどう変わった?
- メンテナンスはしやすい?
- 小屋裏エアコンを採用するときの注意点
などを分かりやすくご紹介します。
そもそも松尾式小屋裏エアコンとは?
一般的な住宅では、LDK、寝室、子ども部屋など、それぞれの部屋にエアコンを設置します。
一方、松尾式小屋裏エアコンでは、住宅の最上部にある小屋裏に家庭用エアコンを設置します。
冷たい空気が上から下へ移動する性質を利用しながら、住宅全体へ冷気を届ける空調方法です。
小栗材木店では、
夏=小屋裏エアコン
冬=床下エアコン
という考え方で全館空調を計画しています。
高額な専用空調機を使用するのではなく、一般的な家庭用エアコンを利用できるのも大きな特徴です。
ただし、小屋裏にエアコンを設置すれば、それだけで家中が涼しくなるわけではありません。
断熱性能、気密性能、日射遮蔽、間取り、吹き抜け、空気の流れ、各部屋の冷房負荷などを計算したうえで設計する必要があります。
そのため、見た目以上に設計技術が必要な空調方法です。
松尾式小屋裏エアコンVer.3で何が変わった?
今回、松尾先生にVer.3の進化について直接伺いました。
大きなポイントは4つあります。
1.除湿性能が大きく向上
2.補助ファンがほとんど不要に
3.1台の空気清浄機で家全体の空気をきれいに
4.エアコン内部を掃除しやすくなった
順番に見ていきましょう。
進化① 除湿性能が向上。湿度50%以下も狙いやすく
Ver.3の進化で特に大きいのが、除湿性能です。
従来型の小屋裏エアコンでも、家全体を涼しくすることは可能でした。
しかし、夏の快適性を考えるうえでは「温度」だけでは不十分です。
例えば、
室温25℃・湿度65%
と、
室温26℃・湿度50%
では、同じような室温でも体感は大きく変わります。
湿度が高いと、
「温度は低いのに少しジメジメする」
と感じることがあります。
松尾先生によると、従来型では室温を下げることはできても、湿度については60%前後になるケースがありました。
Ver.3では仕組みが改良され、条件が整えば湿度50%を切るような環境も狙いやすくなっています。
夏の快適性を、
「何℃まで冷やせるか」
だけではなく、
「温度と湿度をどのようにコントロールするか」
というところまで考えた進化です。
夏の快適性は「温度より湿度」が重要なことも
例えば室温をどんどん下げれば、確かに涼しく感じます。
しかし、
25℃でも湿度が高い室内と、
26〜27℃でも湿度が低い室内では、
後者の方が爽やかに感じることがあります。
湿度を適切にコントロールできれば、必要以上に室温を下げなくても快適に過ごしやすくなります。
小栗材木店でも、真夏の完成見学会やモデルハウスでは、
「温度計の数字だけでなく、家に入った瞬間のサラッとした空気感を体感してください」
とお伝えしています。
高気密高断熱住宅と空調計画をセットで考える意味が分かりやすいポイントです。
進化② 補助ファンがほとんど不要になった
従来の小屋裏エアコンでは、冷気を各部屋まで届けるために複数の補助ファンを使用することがありました。
Ver.3では空気の流れそのものが見直され、こうした補助ファンをほとんど使わずに空調できる仕組みへ進化しています。
これは非常に重要なポイントです。
設備は増えれば増えるほど、
- 初期費用
- 電気代
- 故障する可能性
- 将来の交換費用
- メンテナンス箇所
も増えていきます。
住宅は30年、40年と使用します。
そのため小栗材木店では、できるだけ特殊な設備を増やさず、シンプルな設備で快適な室内環境をつくることを大切にしています。
Ver.3は、よりシンプルな設備構成へ進化した点も大きな特徴です。
進化③ 1台の空気清浄機で家全体の空気をきれいに
Ver.3では、空調だけでなく空気質についても進化しています。
各部屋から戻ってくる空気や、外から入ってくる空気を一度集め、1台の空気清浄機できれいにしてから各部屋へ戻すという考え方が採用されています。
そのため、各部屋に空気清浄機を何台も置くのではなく、
家全体で1台の空気清浄機を活用する
という考え方ができます。
花粉やPM2.5などが気になる方にとっても、非常に興味深い進化です。
また、各部屋に空気清浄機を置かなければ、
- 本体を何台も購入しなくていい
- フィルター交換箇所を減らせる
- 床に置く機械を減らせる
- コンセント周りがすっきりする
といったメリットも考えられます。
家の空調を考えるだけではなく、家全体の空気をどのように管理するかまで考えられているのがVer.3の特徴です。
進化④ エアコン内部を自分で掃除しやすくなった
個人的に、長く住むことを考えると非常に重要だと思っているのがメンテナンス性です。
冷房で使用するエアコンは、内部で結露水が発生します。
そのため長期間使用していると、内部に汚れやカビが発生する可能性があります。
一般的なエアコンの場合、
「内部まで掃除したいけれど、自分では分解できない」
ということも多いと思います。
Ver.3ではメンテナンス性も考えられており、ドライバーなどを使って部品を外し、従来よりも内部まで掃除しやすい設計になっています。
エアコンは住宅よりも寿命の短い「機械」です。
だからこそ、
掃除できること
交換できること
特殊な機械に依存しないこと
は、長期的に見ると非常に重要です。
全館空調で意外と重要なのが「メンテナンスできるか」
全館空調を比較するとき、
「どれくらい快適ですか?」
「電気代はいくらですか?」
に目が行きがちです。
しかし、ぜひ確認してほしい質問があります。
「10年後、20年後にどうやってメンテナンスしますか?」
という質問です。
例えば、
- エアコンが壊れた場合はいくらで交換できる?
- 特殊な専用機器ではないか?
- 特定メーカーしか修理できないものではないか?
- 自分で掃除できる?
- フィルターは何カ所ある?
- ファンが故障したら交換できる?
などです。
新築した直後は、ほとんどの設備が新品です。
本当に差が出るのは、その家に10年、20年、30年と住んでからです。
小栗材木店では、家庭用エアコンのような将来交換しやすい設備を利用することも全館空調を考えるうえで重要だと考えています。
松尾式小屋裏エアコンVer.3ならどんな家でもエアコン1台で涼しくなる?
ここは注意が必要です。
松尾式小屋裏エアコンは、
「小屋裏にエアコンを付ければ完成」
という設備商品ではありません。
むしろ重要なのは、その前段階です。
十分な断熱性能
高い気密性能
夏の日射遮蔽
各部屋の冷房負荷計算
空気が流れる間取り
適切なエアコン容量
これらをきちんと設計して、初めて少ないエネルギーで家全体を快適にできます。
小栗材木店では高気密高断熱住宅とパッシブ設計をベースに、冷暖房負荷を計算したうえで空調計画を行っています。
つまり、
「高性能な家+正しい空調設計」
がセットです。
岐阜県で高気密高断熱住宅を建てる場合、UA値をどこまで高めるべきかについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
高気密高断熱だからこそ家庭用エアコンで全館空調できる
全館空調というと、
「何百万円もする専用設備」
をイメージされる方もいらっしゃると思います。
しかし、家そのものの断熱性能を高めれば、冷暖房に必要なエネルギーを小さくできます。
冷暖房負荷が小さくなれば、空調設備を大型化する必要もなくなります。
小栗材木店が目指しているのは、
高性能な住宅をつくり、できるだけシンプルな設備で快適にすること。
夏は小屋裏の家庭用エアコン、冬は床下の家庭用エアコンを使い、季節ごとに基本的には1台を動かして家全体を空調します。
住宅性能を上げることで、設備をシンプルにするという考え方です。
Ver.2・Ver.3、どれを選べばいい?
「最新のVer.3があるなら、全員Ver.3にした方がいいのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、住宅は一棟一棟違います。
- 建物の大きさ
- 平屋・2階建て
- 間取り
- 吹き抜け
- 家族構成
- 予算
- 求める温湿度
- メンテナンスに対する考え方
などによって、適した空調方法も変わります。
そのため、単純に「最新=全員に最適」と考えるのではなく、住宅の条件やお客様のご希望に合わせて計画することが大切です。
ver2、ver3それぞれの特徴をお伝えしながら、お客様に最適な空調計画をご提案します。
松尾式小屋裏エアコンを採用するなら「体感」してほしい
小屋裏エアコンについて文章や図で説明しても、
「本当にエアコン1台で涼しいの?」
という疑問は残ると思います。
そのため、最も分かりやすいのは実際に体感することです。
特におすすめなのは真夏です。
モデルハウスや完成見学会に入ったら、LDKだけでなく、
- 玄関
- 廊下
- トイレ
- 洗面脱衣室
- 寝室
- 子ども部屋
- 2階
などを歩いてみてください。
一般的な個別エアコンの住宅と比べて、
家の中にどれくらい温度差があるのか
を体感すると、全館空調の良さが分かりやすくなります。
さらにVer.3では、温度だけでなく湿度や空気感にも注目してみてください。
「涼しい」だけではなく、
「サラッとして爽やか」
と感じられるかどうか。
これも夏の住宅を比較するときの重要なポイントです。
まとめ|Ver.3は「温度」だけでなく湿度・空気質・メンテナンスまで進化
松尾式小屋裏エアコンVer.3の進化をまとめると、大きく4つあります。
① 除湿性能の向上
湿度50%以下も狙いやすくなり、より爽やかな夏の室内環境へ。
② 補助ファンの削減
設備をよりシンプルにしながら、家全体へ空気を届ける仕組みに進化。
③ 家全体の空気清浄
1台の空気清浄機で、家全体の空気をきれいにする考え方へ。
④ メンテナンス性の向上
エアコン内部まで掃除しやすくなり、長期間使うことまで考えた仕組みに。
小屋裏エアコンVer.3は単に、
「エアコン1台で家を冷やすシステム」
ではありません。
温度・湿度・空気質・メンテナンス性まで含めて、長く快適に暮らすための空調方法へ進化しています。
ただし、小屋裏エアコンだけで快適な住宅になるわけではありません。
断熱性能、気密性能、日射遮蔽、冷暖房負荷計算、空調設計。
これらをすべて組み合わせることが重要です。
小栗材木店では、岐阜県恵那市・中津川市・瑞浪市・土岐市周辺で、高気密高断熱住宅と松尾式小屋裏・床下エアコンを組み合わせた家づくりをご提案しています。
「家庭用エアコンで本当に家中快適になるの?」
「小屋裏エアコンVer.3を詳しく知りたい」
という方は、ぜひモデルハウスや完成見学会で実際の室内環境を体感してみてください。
真夏だからこそ分かる、家全体の涼しさと爽やかな空気感を体験していただけます。。
Youtube撮影日:2024年9月8日 @株式会社小栗材木店瑞浪モデルハウス
株式会社松尾設計室 代表取締役
プロフィール
松尾和也(まつお・かずや) 一級建築士・松尾設計室代表。1975年兵庫県出身。「夏涼しく冬暖かい住宅を経済的に実現する」ことをモットーに住宅設計を多数手掛けるほか、エコハウスに関する執筆や講演、技術指導を積極的に行う。YouTubeでも家づくり情報を配信。著作に「ホントは安いエコハウス」(日経BP)、「エコハウス超入門」(新建新聞社)、「これからのリノベーション断熱・気密編」(新建新聞社[共著])などがある。

